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オンライン講座で気をつけたいこと:受講者編

2020.6.1

新型コロナウイルスの影響は、企業だけでなく教育の現場にも大きな影響を与えています。急遽オンライン講座に切り替えて5月から授業を開始したところも多いようです。

これまで当たり前のように行っていた講義をオンラインで行う。これはどこの学校でも、開校以来の大変革といえるかもしれません。

今回は、この大変革の渦中にいる大学の先生にお話をお伺いしました。
テーマは、「オンライン講座で気を付けたいこと」。生徒の側からの心得と、講師の側からの心得それぞれについて2回にわたってお話をお伺いしたいと思います。

ご登場いただくのは、国立東京農工大学の北原教授です。

―今回は「オンライン講座で気を付けたいこと」ということなのですがどのようなことがありますでしょうか。

北原教授:まず「オンライン講義の受け方」として気を付けていただきたいのは、次の10項目です。

(1)開講時間に遅れずに入室する
(2)あまりラフな格好、姿勢で臨まない
(3)できるだけカメラをONにして顔を見せる
(4)最初と最後に講師にきちんと挨拶をする
(5)気軽に発言する。ただし、独占的に発言しない
(6)他人の発言は最後まで聞く
(7)受講者同士で議論することも重要
(8)途中で黙って抜けない
(9)講師が受講者全員に質問した時にはきちんと返答する
(10)発言をしない際には、マイクをミュート状態にしておく

―「(1)開講時間に遅れずに入室する」「(2)あまりラフな格好、姿勢で臨まない」というのはとてもよくわかりますね。

北原教授:どうしても自宅でオンラインということになると、つい油断して中にはパジャマみたいな格好で参加する人もいます。オンラインであっても講義ですので、そこはけじめをつけていただきたいですね。
ラフな格好のせいもあるのかもしれませんが、(3)のようにカメラをオフにして音声だけで参加しようとする学生もいます。部屋を映したくないというのもあるかもしれませんが、皆さんの表情を見ながら内容をお伝えしている部分もありますので、できるだけONにしていただければと思います。

―先生が行う授業ですから教室と同様に「(4)最初と最後に講師にきちんと挨拶をする」というのも大切ですね。

北原教授:はい。回線を通すと挨拶を省略してしまう人がすごく多いのですね。これは教室でもオンラインでも変わらないことですから、しっかり挨拶はしましょう。この挨拶ひとつで気持ちのスイッチが入って、授業の内容もしっかり入るようになると思いますよ。

―「(5)気軽に発言する。ただし、独占的に発言しない 」「(6)他人の発言は最後まで聞く」というのは、オンラインならではの課題ということでしょうか。

北原教授:教室での講義でもそうなのですが、特にオンラインの場合、参加している感覚が薄くなりがちで、当事者感覚に欠けてしまう傾向が強くなると思います。発言がしにくくなるという傾向もあるので、意識的に発言を行うような気持ちを持ってほしいと思います。
もちろん自分だけがしゃべるのではなく、「(6)他人の発言は最後まで聞く 」という節度は持ちつつ、活発に発言してほしいですね。

―「(7)受講者同士で議論することも重要」というのも、意識的にやらないといけない部分ですね。

北原教授:はい。テキストチャットだと受講者同士でどんどん議論が進むこともあるのですが、オンラインの場合はこちらの話を聞くだけになりがちです。講師とのやり取りはもちろんですが、受講者同士も議論をしていい、という意識を持ってほしいと思います。

―これは「オンライン講義」への慣れという部分もあるかもしれませんね。

北原教授:そうですね。オンライン講座がごく当たり前のものになってくれば変わってくるようにも思います。

―「(8)途中で黙って抜けない」というのは現場のご苦労を感じます。

北原教授:教室での授業だと私の目がありますので、なかなかやらないことですが、オンラインの場合は違うようです。オンラインであっても、きちんとした授業なんだということを忘れないでほしいです。

―そのうち、抜けたら分かるようなシステムが開発されそうな気もします。

北原教授:オンライン授業が当たり前になると、できるでしょうね。というか、もうあるかもしれませんね。

―「(9)講師が受講者全員に質問した時にはきちんと返答する」という項目を挙げられていますが、きちんと返答しない人が多いということでしょうか。

北原教授:はい。これもオンラインで参加感、当事者感が低下しているせいかもしれません。自分一人くらい答えなくても、という思いを受講者が持ってしまいがち、ということですね。 これは、社会心理学用語で「社会的手抜き」と呼ばれる現象です。人数が増えると一人当たりの発揮する力が低下してしまうんですね。顔を見せている人はうなずきや首振りも大事です。顔を見せていない人は声できちんとYes or Noの態度などを示すようにしましょう。

―そして最後の「(10)発言をしない際には、マイクをミュート状態にしておく」。これは基本ですね。

北原教授:はい。これはやっていただかないと、全体の音声が乱れて授業が全く進まなくなることもあります。基本的なことではあるのですが、本当に気を付けてほしいことです。

よくわかります。実際にやられている方でないと分からないような事柄の数々、勉強になります。次回は講師側の心構えについて伺います。

interviewee

北原 義典
東京農工大学大学院工学府産業技術専攻 教授
人間行動科学に基づく組織マネジメントの教育と研究に従事。前職は㈱日立製作所中央研究所主管研究員。
2014年4月から現職。