
自治体取材編:地域の魅力を伝える「郷土かるた」
引越し記事は来週再開します。
埼玉県の東部中央にある人口約3万4千人の町、宮代(みやしろ)町。前回の記事でご紹介した三択クイズのもととなった「新みやしろ郷土かるた」の普及に町を上げて取り組んでいる。
二代目のかるた制作
「新みやしろ郷土かるた」はその名の通り、宮代町の歴史や文化、自然環境などをテーマにした郷土かるた。このかるたの大きな特長が、読み札、絵札ともにほとんど町内の「子どもたちの作品」であるということ。かるたができるまでのお話を伺った。
「新みやしろ郷土かるた」は宮代町の郷土かるたの2代目。初代は約20年前に町制40周年の記念事業として制作された。20年の間になくなってしまった施設があることや、新たな町のシンボルができたのに取り入れられていない事物もあることから全面改訂を決定。町の生涯学習担当が中心となって「新みやしろ郷土かるた制作委員会」が結成された。

はじめに読み句を募集した。作成の参考にしてもらおうと「題材例解説書」を作成し町内の小中学校を中心に配布。「題材例解説書」はA4サイズ約40ページにわたる冊子で、約140ヶ所に及ぶ町内の文化財や自然を写真付きで丁寧に解説したもの。

この冊子を持って職員が町内のすべての小中学校を訪問し参加を呼びかけた。
6,000句近い応募に嬉しい悲鳴
結果、小中学生の読み句が5,838句、一般から347句の応募があった。小中学生の参加者は1,929名で初代作成時の約2倍、在籍児童・生徒のおよそ88%が参加するという好成績になった。「小中学校の先生にお願いして回ったことが良かったと思う」と当時の担当者は語る。
選定は制作委員会で実際に音読しながら行った。「とにかく数が多くて」と制作委員は嬉しい悲鳴。「人気のあるテーマとそうでもないものがあり、ばらつきが出ないように調整しつつ46音すべてを揃えるのは大変でした」。
読み句を決めた後、絵札の募集を開始。こちらは一般募集をせず小中学生のみとし、学校の美術部や美術の先生方にも協力を求めた。こちらの応募数も1,590点、参加者数で1,551名と高水準になった。

かるたには「読み句を説明したガイドブック」も同梱した。「ガイドブック付きのかるたはほとんど見たことがない」と担当者は胸を張る。それぞれの句の意味や、歴史・自然をより深く学んでもらうためだ。「Webサイトも充実させました。地図へのリンクも貼って実際に行ってもらえるように工夫しています」。
毎年開催されるかるた大会
このかるたを使った大会は毎年7月に開催している。残念ながら今年はコロナの影響があり中止に。大会への参加率は小学生で2割以上と高く、夢中になる児童も多い。「埼玉県の郷土かるたの大会より、みやしろ郷土かるたの大会のほうがなぜか参加率が高いんです」と担当も笑う。毎年のように参加者が増えており会場が満杯に。「コロナ対策も含めて、運営を見直さなければならないと思っています」。
今後は子どもだけでなく、シニアも含む幅広い層に楽しんでもらえる工夫もしていきたいと語る。「家族ぐるみ、親子三世代で楽しんでもらえたら嬉しい」と担当者。
筆者も「新みやしろ郷土かるた三択クイズ」を作成するためにすべての句に目を通した。特に覚えようとしたわけではないのに、「宮目姫」「農のまち」「進修館」「巨峰」などいくつかのキーワードがしっかり頭に残っている。これを、子どもたちが本気で覚えたら・・・。かるたが郷土への思いを深めるよいきっかけを与えている。
※オフィス・サウスはこのかるたを題材にした、三択クイズ「新みやしろ郷土かるた」を提供しています。