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Contribution & Interview

再生可能エネルギーへの取り組み①「バイオマス創エネ」

2020.11.2

SDGs(持続可能な開発目標)という言葉が広く認知されるようになった今、再生可能エネルギーへの注目度はこれまで以上にあがっています。

静岡県御殿場市にある環境事業開発センターの木質バイオマス熱利用の取り組みをご紹介します。

木質バイオマスエネルギーとは?

「バイオマス」とは、生物由来の資源であり「再生可能な木質バイオマスエネルギー」とは、植物である建築廃材(木材)や間伐材などの未利用材を燃やすなどして取り出すエネルギーです。

木材を燃やすとCO2が発生するのに、なぜ再生可能エネルギーに分類されるのか?、と疑問に思う方もいるかも知れません。

木材は植物であり、その生育過程で光合成により大気中のCO2を吸収していますが、その吸収したCO2の量と燃やす際に発生するCO2の量は同等であると言われていて、全体としてみればCO2が増えないと考えられているため、再生可能エネルギーと位置づけられています。

木質バイオマスエネルギーは、天候に左右されやすい太陽光や風力に比べ「安定したエネルギー」が得られることから注目されています。

リコーの実証実験

木質バイオマスといっても素材は様々ですが、リコーでは「間伐材」を活用した創エネに取り組んでいます。

使用している間伐材はリコー環境事業開発センターに近い、御殿場の山々から運ばれてきます。地元の協力企業のもとで細かく裁断され「チップ」として届きます。
これをボイラーで燃焼させ、お湯を沸かします。温水はパイプラインで工場内行き渡り、その熱を利用して食器等を洗浄するお湯を作ったり、冷暖房のエネルギー源として活用しています。

木質バイオマスエネルギープラント

トラブルを乗り越えて

バイオマスを燃やすだけのようにも思えますが、新しい事業はなかなかすんなり行かないもの。想定外のことで動作不良を起こすこともあります。

たとえば「掻き寄せ機」というチップを集める機械の異常動作。通常のチップの掻き寄せではありえない負荷が機械にかかったために起こったトラブルですが、その原因はなんと「チップの水分」。

もともとはすべてのチップに含まれていたわずかな水分が、コンクリート製のサイロ(チップの保管施設)で結露し、保管されていた一部のチップをびしょ濡れにし、固めてしまったのです。固まったチップは重く、掻き寄せ機の能力を超えてしまっていました。

このトラブルは、サイロのコンクリートがむき出しにならないよう、断熱材とコンパネ(板)を張り詰めることで解決しました。

チップが目詰まりすることでおこるトラブルもありました。

チップは取り決めで「長さが10cm以下」のものを納品してもらっていますが、時折大きなものが混入してしまっていました。これが原因でチップを搬送する筒の中で詰まってしまい、ボイラーにチップが供給されなくなってしまったのです。

調査の結果、丸太をチップにする機械に取り付けられている「刃」の摩耗が原因とわかりました。チップ加工企業に「定期的な刃の交換」をお願いすることで解決しました。

新しいチャレンジ

こうしてなんとか安定稼働を続けているバイオマス創エネ機。今後もさらなる改良と新たな取り組みを進めていく予定です。

まず予定しているのが「ボイラー煙突の改良」。現状の煙突は低いため、高いものに交換することが決まっています。煙突が高ければ高いほど、ボイラーが空気を吸い込む力が大きくなり、燃焼効率が上がるためです。

また、チップを燃やした後の焼却灰を自然に戻すことも検討しています。今は産業廃棄物として処理をしていますが、焼却灰は山や畑にまけばよい肥料になります。さらなる森林保全につながるのではと、期待しています。

次回は「マイクロ水力発電」についてご紹介します。

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