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【寄稿】コロナ禍の初詣①「小さな神社巡り」

2020.12.21

コロナ禍での初詣。すでに「幸先参り(年明け前のお参り)」をされた方もいらっしゃるかもしれません。
そんな中、今回は新しい初詣のしかたのご提案です。密になりがちな大きな神社に行くのではなく、人の少ない「近所の小さな神社巡り」をしてはどうでしょうか。
このコラムは神社ウォッチングの会会長の外山晴彦さんにご寄稿いただきました。

神社のご利益に差はない

神社は、小中学校の数よりもはるかに多い。小さな祠などを加えれば、数えきれない。だから、近所を散歩すれば必ず神社に出会う。多くは著名神社から神を「分霊(ぶんれい)」したものだ。しかし、里山の小さな社(やしろ)でも石祠(せきし・石のほこら)でも、それぞれが独立した神社であって、大社との上下関係も序列もない。本来はご利益にも差はない。

祠の例

神社は、集落全般の豊作や平安を祈り、豊かな収穫を感謝する民俗的な場として発祥した。明確な教義・教典はなく、伝統と慣習を受け継いできた。

祈る対象は、山や森、大岩など自然に宿るとされる神々または祖霊(先祖の霊魂)だった。この八百万(やおろず)の神々に姿はない。

感謝の心で参拝を

人々は、生まれた土地固有の神に生涯守護される。これが「産土神(うぶすながみ)」だ。その地域の悪霊を鎮め外敵から守るのが「鎮守神」。血縁一族のための守り神として祖霊を祀る例もある。これが「氏神」で、その崇敬者集団を氏子という。

血縁社会から地縁社会に変わる際に、これらの概念が混同された。さらに、仏教の影響を受けて、神社に個人的な現世利益を願うようにもなってきた。

その神固有の特性を逸脱して、合格祈願や就職祈願をするものまで現れた。

日本の神はおおらかだから、個人の現世利益を願っても咎めることはない。ただし、努力を怠って神頼みしても、神に嘲笑されるだけかもしれない。苦しいときの神頼みは「神にねだる」のではなく「感謝の心」が参拝の基本だ。


来年の初詣では自然に宿る神々、先祖に感謝する神社参拝をしてみてはいかがでしょうか。

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石仏・神社ウォッチングのすすめ
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