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Interview

セカンドキャリアの歩き方①学ぶ

2021.11.29

セカンドキャリアについて考えたことはあるだろうか。人生100年と言われる中、定年退職後の過ごし方を早いうちから考えておくことも必要かもしれない。
ある大手企業を退職後、新しいスキルを身に付けたIさんにお話を伺った。

職業訓練校に通う

Iさんはある企業で定年まで勤め上げた。シニアとして残る道もあったが、きっぱり退職。新たな一歩を踏み出すべく職業訓練を受けた。

職業訓練とは、休職中の人が就職するために必要な知識や技術を学ぶことができる制度。国や自治体が主体となって運営している公共職業訓練(離職者訓練)と、求職者支援訓練の2種類がある。前者は雇用保険の受給資格のある方、後者は受給資格のない方が対象となる。

Iさんが受けたのは、公共職業訓練だ。公共職業訓練には国や自治体が行う施設内訓練の他に、委託を受けた民間事業者行う訓練がある。施設内訓練はモノづくり系が多く、委託訓練は医療、介護などのサービス系が多い。訓練内容は、機械、電機、建築、造園、医療、介護、Web デザイン、プログラミングなど幅広い。コースによって、3ヶ月から2年の訓練期間がある。

手当をもらいながら学べる

職業訓練は基本的には平日の9時頃~17時頃まで行われる。「毎日学校に通って仲間とともに勉強をする。学生時代に戻ったようで楽しかった」とIさん。

職業訓練は基本的に無料で受講できる。条件を満たせば失業手当の受給期間の延長や通所手当(交通費)の交付などの援助を受けることも可能。失業手当をもらうためには、通常月に2回ほど「失業認定日」にハローワークに行く必要があるが、これも免除になる。「楽しく学びながら手当もらえるいい制度だなと思いました」。

ただし、職業訓練は誰でも受けられるわけではない。公共職業訓練を受けるには以下の要件を満たす必要がある。

 ・受講開始日からさかのぼって1年以内に公共職業訓練を受講していない
 ・ハローワークに求職の申し込みをしている
 ・ハローワーク所長の受講推薦または受講指示が受けられる

また、面接や筆記試験もあり「受かるために国語と算数の勉強をしなおしました」とIさんも語る。

DIYアドバイザー

数あるコースから、Iさんは「DYIアドバイザー講習」を選択(現在このコースは募集を終了している)。このコースでは、ふすまの張替え、ペンキ塗り、パンク修理などホームセンターで請け負う業務がほぼ全て学べる。

参加者の男女比はほぼ半々だったという。「自分のような定年を迎えたものだけでなく、若者もいました。幅広い年齢層の人たちと一緒に学ぶことは貴重な体験でした」。

授業は座学もあるが実習がほとんど。プロから直接指導を受けることができる。入学時には大工道具一式が渡されたという。さらに体育の授業や、ハイキングなどのレクレーションもある。作業がうまくこなせる人には「先生のお手伝い仕事」なども紹介してもらえ「お小遣い稼ぎもできました」。

きょういくときょうよう

現在のIさんはのんびりと好きなことをしながら生活しているが、「この時に学んだことは生活の役にたっている」という。「家のふすまの張替えなど率先してできたので、家族のポイントも上がったかも」と笑う。

退職後、終日家にいるようになると家庭内不和が起こりがちだ。「職業訓練で規則的に外出する生活を保ちつつ、次の生活についてゆっくり考えてもいいのでは」とIさん。「きょういくときょうよう、つまり『今日行く』ところがあって『今日用がある』ことが大事」と語る。

第二の人生のスタートに「学び」の選択肢を入れてもいいのかもしれない。

HIGHLIGHT

定年退職後に新しいことを「学ぶ」という選択肢も。職業訓練校について調べておくと良いかもしれない。