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足場板がおしゃれ家具に!?

2022.6.13

建築現場で欠かせない「足場板」。現在では金属製のものが使われることも多いのですが、高速道路や橋梁等の建設現場では、今も杉の足場板が使われているという。
今回は使用済みの杉の足場板のリユース、リサイクルに取り組む企業をご紹介。

足場板の寿命は3~5年

足場板とは建設現場や工事現場などで使われる「仮設の作業用の床」のこと。ビルなどの高所作業の現場で見かけたことがあるだろう。足場板にはスチールやアルミなどの金属製、合板や杉でできた木製のものがある。

関東以北にお住まいの方は「木製の足場?」と思われるかも知れない。近年は金属製の足場板が使用されることが多いからだ。逆に関西以西では杉足場板が根強い人気があり、今でも高速道路や橋梁等の建設現場で使われているという。

杉足場板は滑りにくく、番線で締めやすいといったメリットがある。ただし、温度の変化によって木材が伸縮してしまうというデメリットもある。また、平均3~5年ほどしか使えない。現場で働く人達の命を預かる重要なパーツのため、少しでも不具合があればすぐに取り替えられてしまうのだ。

毎日大量に焼却処理

ご紹介する株式会社WOODPROは創業以来、杉足場板の販売やリースを行ってきた企業。「人に踏みつけられ」「釘を打たれ」「重いものを落とされ」「ペンキで汚され」「風雨にさらされ」・・・足場板は過酷な状況で使われ、ダメージを受ける。足場板としての役目を終えた杉板は毎日のように焼却処理されていたという。

その様子を見続けた先代の口癖が「もったいないのぉ、なんとかならんか」だったという。

杉足場の原料はほぼ100%国産だという。戦後の住宅用材木が不足の折、目をつけられたのが杉だった。成長が早く、軽く、長い材料が取りやすいためだった。実際に日本の家屋に杉が使われることはほとんどないが、そのおかげもあってか、杉足場は国内で賄えている。

リユース、アップサイクルへ

先代の口癖から、足場板のリユースがはじまった。まずはリース品として使えなくなった足場を削り、ウッドプランターとして販売を開始。「リユース」という言葉も知られていない時代、簡単には売れなかったという。

数年後、「古材には味わいがある」と、足場板をそのまま使った内装づくりがはじまった。足場板古材そのものが売れるようになっていったのだという。世の中が少しずつ追いついてきた。

さらに数年後、オリジナルの小物や家具の商品開発を開始。現在はラックやデスクといった大物からフォトフレームや鏡なども制作、ネット販売している。リユース、リサイクルがブームになる中、人気商品に。現在ではオリジナル家具をDIYしたいという方向けに「素材」として板の販売もしている。

製品の例

「もったいない」精神から始まった事業だが、現在では自社でリースした杉足場板だけでは安定供給ができないと、日本全国から有償で買い取り製品化しているという。

過酷な環境で使われ最後には燃やされていた木材が、化粧直しをして家庭や店舗で「癒やし」を与えるものとして使われる。良い取り組みだと思う。
最後にWOODPROのパンフレットの一言を。「広島の片田舎の小さな企業の取り組みが豊かなくらしのヒントになれば幸いです」。

COMPANY INFO

株式会社WOODPRO ウッドプロダクツ事業部
738-0202 
広島県廿日市市峠245-33
0829-74-3714  
Web