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企業の首都圏離れ

2022.8.29

コロナ禍でオフィスのあり方が変わってきている。NTTが「勤務地は自宅、出社は出張扱い」とする制度をスタートさせるなど、働く場所が固定されなくなってきた。首都圏のオフィスの動向について調べてみた。

首都圏からの移転が過去最多

帝国データバンクの調査によると全国で2258社が2021年に本社移転を行った。このうち首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)から地方へ本社を移転した企業は、前年比2割増の351社だという。

逆に地方から首都圏へ本社を移転した企業は328社。結果、23社の「転出超過」となった。首都圏で転出超過となるのは11年ぶりのこと。

首都圏からの移転先としては大阪府が最も多く46社。大阪府は移転元としてもトップで67社が大阪府から首都圏へ移転している。首都圏と大阪だけで見ると「転入超過」になる。
移転先として2番目に多いのは北海道で33社で、首都圏から北海道への移転は過去最多。

首都圏の中でも「転入超過」を記録し続けている県がある。神奈川県だ。2021年の帝国データバンク横浜支店調査では転入超過は146社で、都道府県別で全国1位。神奈川県が「転入超過」で全国1位となるのは2年ぶり。「転入超過」は32年連続だった。

オフィスの2023年問題

企業の転出超過にあわせるように、オフィスの空室率も上がっている。2022年6月時点の東京都心5区における平均空室率は6.39%(三鬼商事調べ)。リーマンショック後の2008年以後に近い空室率の高さ。

平均賃料も下がり続けている。空室率を下げたいビルオーナーが他との差別化のために「家賃を値引き」している様子がうかがえる。

この状況下でもオフィスの供給は増え続ける。不動産業界では「2023年問題」と呼ばれるビルの竣工ラッシュが訪れるのだ。これは虎ノ門、六本木・麻布などの都心エリアに、日本橋・京橋などの東京駅近郊エリアで再開発が盛んなため。これにより今後も東京のオフィス賃料が下がり続けると予測する専門家もいる。

これまでのような賃貸オフィス運営では勝ち目がないと、シェアオフィスやコワーキングスペースの運営に乗り出すオーナーも増えている。2021年のザイマックス不動産総合研究所の調査では、東京23区のシェアオフィスの面積は東京ドーム13個分(約19万4000坪)を超えたという。

働き方とともにオフィスも、オフィスビルも変化していく。
「2023年問題」も注視していきたい。

HIGHLIGHT

首都圏からの企業転出は止まらない。
一方で首都圏のオフィス供給も増え続けている。
賃料の変化に、要注目。