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Interview

安全なはちみつを作る - ときつ養蜂園のチャレンジ㊤

2022.10.17

「オーガニックなはちみつ」と聞くと「今どきは普通にあるのでは」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。養蜂には農業にはない難しさがあり、実現にはかなりのハードルがあるといいます。今回は「無農薬な養蜂」にチャレンジしている「ときつ養蜂場(山口県)」の時津ご夫妻(佳徳さん、志帆さん)にお話を伺いました。

ダニ駆除の化学薬剤

まず驚いたのが「養蜂家はミツバチ自体に農薬を使うことがある」ということ。ミツバチの体にはダニの一種が付くことがある。ダニがつくとミツバチは動けなくなってしまうため、駆除用の化学系薬剤を使う養蜂家が多いという。

ときつ養蜂園ではこの薬剤を使わない。おとりとなる雄蜂の巣を作りダニをおびき寄せて駆除したり、こまめな観察で早期発見、手で取り除く。

巣を丹念にチェックする時津さん

また、ハチに特殊な処理をした高波動の水を与えている。特に夏場は毎朝のように巣箱にかける。この水のお陰で蜂も巣箱も元気になり病気にかかりにくくなるという。ただこのやり方は「とてもお金がかかるため、他にやっている養蜂家はいないと思う」と笑う。

ミツバチの天敵は農薬!?

ミツバチの天敵として有名なのはスズメバチ。こちらは巣箱の周りに捕獲器を置くなどして、駆除ができる。

もうひとつやっかいな天敵が、農家が散布する農薬だ。農薬を含む水を飲むことでハチが死んでしまうのだ。日本で一番養蜂家が多いのは長野県(2021年農水省)で、有機農法が普及している地域でもある(有機認証事業者数の県別ランキング7位)。

山口県では有機農法はまだまだ少数派。時津さんは事前に農薬を撒く日を教えてもらい、当日は巣箱に蓋をしてハチが飛ばないようにするなどの対策をとっているという。

それでも、巣の中に農薬が持ち込まれることもある。セイヨウミツバチの活動範囲は半径約3kmと言われており、その範囲内の農薬をすべて排除することはできないからだ。

時津さんは巣礎(すそ。ミツバチが規則正しい六角形の巣穴を作るよう人工的にミツロウでハチの巣の形をつくったもの)も通常よりも短い周期で取り替え、農薬が可能な限り巣内に残らないようにしている。

ミツバチに餌?

はちみつが採れるのは4~6月。しかしミツバチの世話は年中無休。

冬眠をしないミツバチは寒い季節には固まって温度を保ち、春を待つ。その季節は自然界に食べるものが何もないため、餌を与えるのだという。もちろんオーガニックの餌「砂糖水」だ。他にビタミン液などのサプリメントも与えているという。

手間ひまをかけて大切に育てたハチが集めるはちみつ。ここでは、何も手を加えず瓶詰めして出荷している。「安心安全で自信を持っておすすめできます」。

ときつ養蜂園のはちみつとシフォンケーキ

次回は、養蜂家になるまでと今後のお話です。

COMPANY INFO

株式会社ときつ養蜂園
〒753-0303 山口県山口市仁保下郷561
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