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Interview

有機栽培とともに - ときつ養蜂園のチャレンジ㊦

2022.10.24

「オーガニックなはちみつ」づくりをしているときつ養蜂場の時津夫妻(佳徳さん、志帆さん)。今回は養蜂家になるまでの物語です。

知識ゼロから養蜂家へ

佳徳さんはもともと警察官だった。警察官の仕事は自分にはあっていなかったという。「朝も昼も夜も、夜食もコンビニ食やカップラーメン。寝る時間も短くストレスフル」だったため、悩んだ末に退職。もともと興味のあった農業に関わりたいとJA育苗センターでアルバイトをしながら就農の準備をすすめた。

そんな時、佳徳さんは悪性リンパ腫を患う。摘出手術、抗がん剤治療を受けた。闘病中には食事について勉強し、自然免疫を働かせることを考えた。「食生活の見直しで元気になった」というのが正直な感想だという。

この経験が佳徳さんを「有機農業」に推し進めた。

ちなみに農業に興味を持ったきっかけは養蜂家の祖父だという。なるほど跡継ぎかと思いきや、そうではないという。「養蜂は祖父の知り合いや養蜂組合の先輩などから教えていただいたことと、自分で調べたことをもとにはじめました」。

奥様の志帆さんも養蜂は未経験。大学生のときに少林寺拳法で佳徳さんに出会い恋に落ちた。すでに就農を考えていた佳徳さんをみて「彼がやりたいなら私も」とこの世界へとびこんだ。

16歳年上でがんを患っていた彼との結婚に、志帆さんの両親は大反対。最後には勘当されてしまったという。 優しく人懐こい笑顔からは想像できない、熱意と行動力の持ち主だ(今は両親と和解している)。

時津夫妻

地元から有機栽培を

ときつ養蜂園は水田が広がる田園地域にある。前話でも述べたように農薬はミツバチの天敵だが、この地域ではヘリコプターを使った農薬散布が定期的に行われている。

この状況をなんとかしたいとJAへの働きかけも行っているが、思うようには話が進んでいない。「まずは仁保(ときつ養蜂場のある地域)を有機エリアにできたらと考えているのですが」と佳徳さん。

「植物にとってミツバチは必要な存在。ミツバチがいないと実がなりません。農家さんも同じです。協力しあえる関係にならなければ」と続けた。

はちみつの良さを伝える

無農薬な養蜂をはじめたころには、ミツバチを多く死なせてしまったことも。試練を乗り越え、ようやく養蜂が軌道に乗り始めたところ。今後は経営者として「事業として成り立つ養蜂」を考えていきたいという。

はちみつの良さを伝えるため様々なイベントにも積極的に参加している。筆者も東京のイベントで夫妻にはじめてお目にかかった。 イベントを通じて知り合った人たちの口コミなどから、ネット通販の売上も徐々に上がってきている。

無農薬のはちみつの良さは「エグ味が少ないところ」ではないかと志帆さん。複数種のはちみつを試食させてもらったが、どれも他のはちみつに比べ格段に香り高く、花ごとの違いが明確にわかるものだった。

この味が広まることを楽しみにしたい。

ときつ養蜂園の直売所。機会があったらぜひ。

COMPANY INFO

株式会社ときつ養蜂園
〒753-0303 山口県山口市仁保下郷561
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