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Interview

南極料理人のお店 — 序章「南極まめ知識」

2022.12.5

新宿御苑にある「八十八(やそはち)」の店長は第21次南極観測隊・越冬隊の調理担当をしていた中村嘉明さん。南極での経験などをお話しいただきました。今回はその序章として「南極」について見直します。

南極の氷の厚さは富士山級

南極と北極、両者の違いを知っていても「あれ?どちらの話?」と混同している方もいるのでは?

まず、南極には大陸があるが北極にはない。南極は約1400万km2の大陸で、約98%が氷に覆われている。この氷は「氷床(ひょうしょう)」と呼ばれ、平均2.4kmで最も厚いところでは4kmにも及ぶ。大陸の大きさは日本の約36倍、最も厚い氷床は富士山(3.776km)より高い(環境省のサイトより)。

北極には大陸がなく、北極点周辺が厚さ最大10mの氷で覆われているだけだ。この氷は夏になると溶けてしまうこともあり、北極には海しか無い、ということも。

気温は南極のほうが低い。北極点の年間平均気温は”-6.2℃”で南極点の平均気温は-49.5℃だ。南極は標高が高いことから気温が低く、大陸があることで海だけの北極より気温が低くなる。

南極はどこの国でもない

南極大陸は、世界のどの国の領土にも属さない大陸だとご存知だろうか。1959 年 に締結された「南極条約」に基づいている。この条約は南極の平和利用を目的としており、2019年までに54カ国が締結している。定住する人もおらず、観測を行う隊員たちが滞在しているだけだ。

北極には土地がないが、北極圏には8カ国の領土が含まれている。アメリカ、カナダ、ロシア、デンマーク (グリーンランド )、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの領土だ。

ペンギンは南極だけにいる

北極や南極の「生き物」と聞くと、ペンギンやシロクマを思い起こすのでは。ペンギンは南極にしかおらず、シロクマ(ホッキョクグマ)は北極圏にしかいない。

ペンギンが南極にしかいない理由は「人間の乱獲」だと言われている。もともとペンギンの一種とも言われる「オオウミガラス」が生息していたが、羽毛の利用と卵を食するために捕獲され1840年代に絶滅した。



一方のホッキョクグマが南極にいない理由は「食糧不足」ではないかと言われている。北極圏よりもはるかに気温が低い南極には、ホッキョクグマの食料となる生物が少なく生息が難しい。北極圏でも餓死するホッキョクグマが多いという状況のため、南極ではなおさら生きていけない。

南極での観測

南極にいる唯一の人々は南極観測隊の隊員たち。彼らの大半は気象庁や大学の研究者。気象観測、オーロラ・宇宙観測、採水・雪氷観測、重力・地震・大陸緯度経度観測、生物・医学観測などを行っている。

「大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所」のサイトには以下のように書かれている。

 日本の南極観測のルーツは、今から100年以上前の1912(明治45)年に、白瀬矗(しらせのぶ)ひきいる南極探検隊によって実施された学術探検にまでさかのぼります。その後、1957(昭和32)〜1958(昭和33)年に行われた国際地球観測年(International Geophysical Year; IGY)と呼ばれる純学術的な国際協力事業の一環として、閣議決定に基づき、1956(昭和31)年に第1次南極地域観測隊の派遣が決定しました。途中南極観測船の引退に伴い中断もありましたが、現在まで65年以上に渡り南極観測を続けています。

次回はこの南極観測隊の一員として働いた「元南極料理人」中村嘉明さんの体験談をご紹介します。

HIGHLIGHT

どこの国でもない大きな大陸が南極。ペンギンはいるがシロクマはいない。