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Interview , SDGs

SDGs未来都市計画①春日部市

2023.1.30

SDGs未来都市計画とは

内閣府SDGsの達成に向けた取り組みを積極的に進める自治体を公募し、「経済・社会・環境の三側面の統合的取り組みにより、新たな価値を創造する提案を行った自治体」を認定する制度。

認定された自治体は「SDGs未来都市」として公表される。平成30年度(2018年度)から現在までに155の自治体(都道府県、市区町村)が認定されている(※)。

選定された自治体は3ヶ年の取り組みを具体化した「SDGs未来都市計画」を公表することになっている。計画書には全体計画のほか、各施策の具体的な目標数値とそれを実現するための手法が記載されている。

※内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局が運営する「地方創生サイト」より

今回ご紹介する埼玉県春日部市は令和2年度(2020年度)に「SDGs未来都市」に認定された。多岐にわたる目標が細かく記載された計画書の中から「春日部市独自の取り組み」をご紹介。

コンパクトシティ

春日部市は埼玉県の東部に位置する人口約23万人の都市。人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の一家が住む街としても有名だ。現在はクレヨンしんちゃん一家は特別住民登録され「子育て応援キャラクター」や「まちの案内人」として市のパンフレット等に登場するほか、コミュニティバス「春バス」のラッピングにも使用されている。

春日部市の課題も他の多くの自治体と同じ「生産年齢人口の減少」と「高齢化の進行」だ。これを解消するためのひとつの目標として「コンパクトで質の高いまちづくり」を掲げている。

コンパクトシティを目標として掲げる自治体は多く、住民生活の質の向上、自治体の財政問題の解決、脱炭素などメリットは大きい。現在は中心部にある春日部駅の鉄道高架化を進めている。これまで線路により東西に分断されていた街をひとつにすることで、中心市街地を活性化し「コンパクで質の高いまちづくり」を加速させていくねらいだ。

三世代近居

人口減少への対応策として春日部市が掲げている施策が「三世代近居」だ。子世帯と親世帯が近居または同居するために住宅を取得した世帯を助成する制度で「登記費用」の助成や、住宅ローンの優遇(条件あり)が受けられる。

この取り組みは他ではあまり見られないユニークなもの。親と子、孫の三世代が近隣に住むことで、経済的にも精神的にも助け合う「三世代がつながるまち」を目指している。

春日部市ふれあい家族住宅購入奨励事業 のパンフレットより

東洋一の団地の対策

もうひとつ春日部市でのユニークな取り組みが「高齢化が進む団地」への大学生の誘致施策だ。

春日部市内には「東洋一の団地」と言われた約5,000世帯を抱える武里(たけさと)団地がある。この団地のお陰で春日部市の人口が急増し、その発展に大きく寄与したという歴史がある。しかし高齢化が進み、自治会活動の後継者も少ない状態になっていた。

ここに大学生を誘致することで人口増加とにぎわいの創出をしようという「官学連携団地活性化推進事業」が立ち上がった。学生が武里団地に入居し地域貢献活動をすることを条件に、家賃や交通費の一部を補助する事業。

学生が地域のイベントなどに参加、近年では高齢者のために新型コロナワクチンの予約サポートをするなどの活動を行っている。この活動は10年以上続けられており成果も上がっているという。

春日部市の計画書は今年度で一度期限を迎える。次の3年の計画書を現在制作中だという。今後も注視したい。

CITY INFO

埼玉県春日部市役所
344-8577 埼玉県春日部市中央六丁目2番地