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Interview

日本遺産のお酒②「伊丹諸白」を受け継ぐ富士山蔵㊤

2022.11.14

「伊丹諸白」を受け継ぐ酒蔵のひとつが「富士山蔵(小西酒造)」です。現代の酒造りを見学させていただきました。

洗って、漬けて、蒸す

「酒屋萬流」という言葉があるように酒蔵ごとに酒造りのこだわりがあるという。とはいえ酒造りの基本は同じで、ワインやビールとは違う独特の工程がある。

工場に入り、最初に通されたのは洗米・浸漬(しんせき)する部屋。見上げるほどの大きさの浸漬タンクが並ぶ。

精米したお米を洗って、水に漬けるという単純にも思える工程だがここでの勝負は「時間」。天候等によるお米の状態によって水に漬ける時間を変える必要ががあり、秒単位で漬ける時間を管理する。「繊細な水加減が要求されるお酒の場合は秒の差が大きな違いになります」と小西酒造の石田さん。

古い機械だそうだが、磨き上げられてピカピカになっている

続いてお米を蒸す「蒸米」の工程へ。
その昔はこしきで蒸していたが現代はこしきと機械化された蒸米機を併用している。仕込みの種類や規模を考慮し、蒸米機を使い分けることによりよい蒸米ができる<

ここでのポイントは蒸気の量。「ひねり餅」を作って状況を確認、蒸気量を調整しながら蒸していく。「ひねり餅」とは蒸したお米をお餅のように伸ばしたもの。蒸し具合のチェック方法は江戸時代から変わらない職人技だ。

麹造り

次の工程は麹造り。蒸したお米に「種麹(たねこうじ)」をふりかけて麹菌を繁殖させる。この工程は昔とほとんど変わらない。

江戸時代とほぼ変わらない麹室

麹造りのポイントは「温度と湿度の管理」。麹菌にとって最適な環境を作る事により出来上がる良い麹が酒質を大きく左右させる。

昔ながらの手作業での麹造りの他に、一度に5000キロのお米を麹する機械もあるという。

この麹菌が作り出す「酵素」がお米のデンプンを糖に変え、酵母菌が糖を栄養にアルコールを作り出す。

お酒のもとをつくる

江戸時代は「酛仕込み(もとじこみ)」と呼ばれていたが現代では「酒母造り(しゅぼづくり)」と呼ばれている工程。タンクの中に麹と水、蒸米を加えて酵母を大量に培養する。

昔は樽だが現代ではステンレスタンクで酒母を作る

昔は木樽を使用しただが現代ではステンレスタンクで酒母を仕込む。 ここでも重要なのは温度管理だという。およそ2週間で本仕込みに使える酒母になる。

次回は仕込みから製品までをご紹介します。

INFO

小西酒造株式会社
〒664-0845 兵庫県伊丹市東有岡2丁目13番地
TEL 072-775-0524
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