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ホテルのアメニティが変わる-プラスチック資源循環促進法

2023.6.5

世の中が「コロナ前」に戻りつつある今、旅行や出張に出かける方も増えたのではないでしょうか。久しぶりにホテルに宿泊して「あれ?歯ブラシがイメージと違う?」「連泊で部屋のお掃除してくれないの?」と思われた方もいるのでは?今回はホテル業界のアメニティ事情についてです。

プラスチック資源循環促進法

宿泊業界のアメニティ変化の背景にあるのは「プラスチック資源循環促進法」。2022年4月1日から施行されている。2020年施行のレジ袋有料化を定めた「容器包装リサイクル法」に続く「プラスチック資源循環戦略」関連法案のひとつだ。

※「プラスチック資源循環戦略」は「3R+Renewable(3Rの徹底と再生可能資源への代替)」を基本原則としており、「2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制」など、6つの野心的なマイルストーンを設定している。

この法案の特徴は、前出の「容器包装リサイクル法」や「家電リサイクル法」とは違い、設計、製造、使用後の再利用まですべての段階で責任を持つことが強調されていること。「リサイクル法」が使用後の再利用に重点をおいていることに比べると、責任範囲がかなり広くなっている。

宿泊業では5品目が対象に

基本方針では「特定プラスチック使用製品の使用の合理化(ワンウェイプラスチックの使用の合理化)」が求められている。具体的には12品目のプラスチック製品を取り上げ、削減することを求めている。

環境省 プラスチック資源循環サイトより

宿泊業に削減が求められているのは、歯ブラシ、カミソリ、ヘアブラシ、くし、シャワー用キャップの5種類だ。また、この法令の対象となるのは「前年度において提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上の事業者」。大型のホテルでアメニティの置き換えが進んでいるのはこのためだ。

各ホテルは様々な対応をしている。例えば、帝国ホテルは竹製・木製のアメニティを導入。東急ホテルズでは、籾殻(もみがら)を配合したアメニティを導入済み。アワーズイン阪急ではポリプロピレン樹脂に「藁」を配合した歯ブラシを紙製の包装材でパックすることでプラ削減を実現。

アメニティを客室に設置せず、フロントフロアから必要な人が自分で持っていくアメニティバイキング形式のホテル、アメニティを使わない場合にはプレゼントが貰えるホテル、逆にアメニティが有料のホテルもある。

より大きな目標を掲げるホテルも

さらに、製造・販売事業者等による自主回収・再資源化についても述べられている。星野リゾートでは、歯ブラシを捨てずにリサイクルし、再び歯ブラシとして提供する仕組みを作った。東横インでも歯ブラシとコームを回収し、歯ブラシケースにする取り組みを行っている。

大きな目標を掲げるホテルも出てきた。森トラスト・ホテルズ&リゾーツは2023年4月に「プラスチック使用量を約15トン削減」すると発表。2024年度を目処に、運営する18ホテルのアメニティで用いるプラスチックを「9割以上削減」するという目標になる。具体的な方策についてはリリースに記載がないが、動きが気になる。

森トラスト プレスリリースより

私たちも、旅行や出張に行く前に「アメニティは用意されているか」を確認することが必須になってくる。それよりも自分自身が、必要なものを持参し「使い捨てを減らす」気持ちが大切かもしれない。

※各ホテルの情報は各社が発表したプレスリリースまたは公式サイトの情報です。

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