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Interview

やすらぎをもたらす光をつくる

2022.3.29

今回はプリンターで培った「光」の技術を使って「心」にひびく製品を作ろうと奮闘している企業(アフィット)をご紹介します。長く続くコロナ禍で疲弊した方々の心を癒やす製品づくりを目指している、代表の海江田さんにお話を伺いました。

体内時計は24時間ではない

アフィットは東京都日野市にあるプリンターの製造企業。
バーコード付き住所の印字など「超高速大量印字」ができるプリンターや、500℃加熱ノズルで耐熱の製品を出力できる3Dプリンター、手形発行プリンターなど様々なプリンターの開発、製造を行っている。

ここで作られているのが「健康照明パネル」だ。「プリンターの製造企業がなぜ照明を?」と問うと「プリンターには光学技術が不可欠です。この技術を他にも活かせないかと考えていたところ健康照明にたどり着いたのです」と海江田さん。

「健康照明」とは色温度の違う光を浴びることで「ストレス緩和」「体内時計の正常化」を目指す照明。体内時計は生物時計とも言われ、中でもおよそ24時間周期のサーカディアンリズムが日々の生活リズムを整えている。

サーカディアンリズムは「およそ」24時間周期で、実際はそれよりもやや長い周期。そのため何もしないと毎日少しずつ夜型になることになる。ズレを食事や運動とともに調整するものが「光」だ。中でも「朝起きたら太陽光を浴びる」ことは重要で、これにより時計がリセットされる。

ところがコロナ禍で在宅が増え「不規則な生活」「太陽光を浴びる機会の減少」などにより、精神的に不安定になっている方も多いという。こうした方々の症状の緩和に役立っているのが「健康照明パネル」だ。

和をテーマに

専門医との共同開発でこのパネルは作られた。A4サイズのライトはLEDで、色温度を調節することで「朝方」「日中」「夕方」「夜間」の光を再現できる。さらに治療時に使用する「青い光」も出すことができる。

北欧には極夜(冬のほどんと日が昇らない日のこと)対策として「光を使った健康維持」は日本より広く知られている。朝起きたら「家内で健康ランプをつける」などを行うことで体内時計のリセットをしている。

北欧で使われている照明は無骨なものが多いが、こちらは繊細な和柄である「小紋」があしらわれている。また、北欧のものは蛍光灯や機会的に色温度を変更するものが多いが、こちらはLED照明を使っている。 「小紋」の柄はプリンターで培った技術を使い「白インク」で印刷されている。また、海江田さんこだわりのパネルは漆の重ね塗りだ。スマホのように「着せ替え」ができるよう「小紋」の柄もパネルの「枠部分」も簡単に取り外せるようになっている。

風でゆらぐここちよい明かり

海江田さんはこの他に「風を感知してゆらぐ光」を提供する「キャンドルランプアダプター」も以前、開発した。

プログラムでランダムに明るさの変わるろうそく風ライトも売られているが、「周囲の空気の流れ」を検知して揺らぐライトは他にはない。「より自然で、見ていてホッとする明かりになっていると思います」と海江田さん。このライトを囲っているのは海江田さんが漉いた和紙。優しい風合いでライトを包んでいる。このコラムでもご紹介した小川(伝統技能の守り方㊤ 世界に認められた「細川紙」)で10年以上実績を積んできたという本格派だ。

いつかイルミネーションやクリスマスツリーに組み込んでみたいと意気込む。同じライトでも風に揺らぐライトは長く見ていても飽きがこない。
あたたかみのある明かりが、クリスマスを彩る日も近いかもしれない。

COMPANY INFO

株式会社アフィット Web
代表取締役 海江田省三。