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神戸牛のひみつ

2023.2.6

日本の全国各地にはブランド牛と呼ばれる銘柄牛があります。本日は牛のブランドのお話。

和牛と国産牛

「日本三大和牛」や「日本産大銘柄和牛」などという言葉を聞いたことがある方も多いと思うが、実はこれには明確な定義はない。神戸牛、松阪牛、近江牛、米沢牛の4ブランドのうちの3ブランドを指すことが多い。

ただ「和牛」の定義は明確だ。「国産牛」と混同しがちだが、「和牛」とは品種のこと。黒毛和種(松阪牛、近江牛など)、褐色和種(土佐牛、肥後牛など)、日本短角種(八甲田牛など)、無角和種とそれらを交配させた品種のみが「和牛」を名乗れる。日本国内で飼育しても、これらの品種でなければ和種とは名乗れず「国産牛」となる。

神戸ビーフの厳しい基準

実は「神戸牛」は一般名称。正式名称は「神戸ビーフ」「神戸肉」だ。兵庫県内で飼育されている「但馬牛」の中から選ばれたエリート牛を指す。

各地の和牛はそれぞれ厳格な基準をクリアすることでブランドを名乗れるようになるが、中でも神戸ビーフの定義は独特だ。

例えば、松阪牛の場合は下記のような基準を満たすことが求められる。

・黒毛和種、未経産の雌牛
・松阪牛個体識別管理システムに登録されていること
・松阪牛生産区域(旧22市町村)での肥育期間が最長・最終であること
※生後12ヶ月齢までに松阪牛生産区域に導入され、導入後の移動は生産区域内に限る。
松阪牛協議会 サイトより

神戸ビーフの基準も下記のように地域が限定されている。

・兵庫県で産まれた「但馬牛」であること
・兵庫県内において肥育された未経産牛または去勢牛であること
・兵庫県の食肉センターに出荷されたものであること。
松阪牛協議会 サイトより

ただし、ここからが独特で「公益社団法人日本食肉格付協会の定めた枝肉の格付が、下記の4つにあてはまるものだけ」という厳しい基準が追加される。

・歩留等級がA・B等級であること
・肉質等級が4以上であること
・BMS値(ビーフ・マーブリング・スタンダード)が、No.6からNo.12であること
・枝肉の重量が規定内であること

お気づきだろうか、神戸牛の基準には「肉質」が加わっているため、「生きている神戸牛はいない」ということになる。この基準は日本で一番厳しいと言われている。

牛肉の格付け

ここからは格付けの豆知識。よく耳にする「A5」などの表現は「歩留等級」と「肉質等級」を表したもの。

歩留等級はA~Cまでの3ランク。一頭の牛からとれる可食部分の割合の多さで、Bが標準値でそれよりも高いものがAになる。歩留等級が高いほど良い牛となるが、味に影響があるかというと必ずしもそうではない。一般的に、和牛はAランク、和牛以外の肥育牛がBランク、経産牛がCランクと言われている。

肉質等級は脂肪交雑(霜降りの度合い)、色、肉の締りときめ細かさ、脂の色と質などを評価するもの。ロースしん(胸最長筋)の切断面から、1~5等級に区分される。

神戸ビーフの基準値にもなっている「BMS」はビーフ・マーブリング・スタンダードの略で脂肪交雑の基準値だ。12段階で評価され、数字が大きいほど霜降りの度合いが高いとされる。

歩留、肉質、BMSをあわせて「A5-12」などと表現されるが、ここまでくるとかなり「サシが多い」肉ということになる。

牛肉の格付けは味ではなく「肉の見た目や質を数値化」したものだ。味の基準は人それそれなので一概には言えないが、「A5よりA3ぐらいの方がいい」という意見があるのも頷ける。

HIGHLIGHT

神戸牛の正式名称は神戸ビーフ
神戸ビーフは厳しい肉質基準をクリアしたものに与えられる称号。