Close

About

東京のコンテンツ制作会社が運営する
時事コラムサイト
株式会社オフィス・サウス

Prev Next
Image
Interview , SDGs

SDGs未来都市計画② 豊島区㊦

2023.2.27

前話では「としまSDGs都市宣言」をご紹介しました。今回はその具体的な施策をご紹介します。

公園を中心としたまちづくり

ある程度の年齢の方なら「池袋駅周辺の公園」と聞くと「行きたくない」とつい思ってしまうのでは無いだろうか。かつての池袋の公園といえば「汚い」「暗い」「怖い」のイメージが揃う場所だった。

現在の池袋周辺の公園はと言うと、広々とした芝生の広場に、おしゃれなカフェなどのお店が立ち並ぶ、広く、明るい憩いの空間になっている。

南池袋公園の夕景

区で取り組む池袋駅周辺の4つの公園、南池袋公園、池袋西口公園、中池袋公園、IKE・SUNPARKを中心としたまちづくりのひとつの成果だ。

きれいに整備された公園の周りには自然と店舗や企業が集まって来る。店舗が集まれば、人も集まる。公園を中心とした「良いサイクル」がまわりだした。週末には他県から訪れる親子連れも少なくないという。

さらに、公園を回遊するまちなか交流バス「IKEBUS」も運行。地域の交流に一役買っている。こうした公園を中心としたまちづくりが「自治体SDGsモデル事業」に選定された。

ファーマーズマーケットが庁内を変える

IKE・SUNPARKでは毎週ファーマーズマーケットが開かれている。埼玉県産の農産物などを販売するほか、区のSDGs活動を紹介する「SDGsブース」を展開している。

このブースは庁内の各部署が持ち回りで運営する。SDGs未来都市推進課がコーヒー殻を使った消臭剤づくりのワークショップを開けば、環境政策課が「グーリンとしま再生プロジェクト」の一環として苗木100本を配布。子ども家庭支援センターや放課後対策課なども体験型ブースと展示を行っている。

各部署とも最初は「何をしたら良いか」というとまどいが多かったというが、今では「やってよかった」という声が多い。直接区民の声を聞けること、アンケートなどが実施できることなどが、庁内の意識を変えているという。「活動を自分ごととして捉えられる職員が増えたのでは」と担当者。

豊島区こども未来国連会議

SDGsのゴールは2030年。豊島区ではこれを見据え、SDGs達成の「担い手育成事業」にも力を入れている。

区立小中学校で、SDGs達成に向けて「外部人材や地域資源を活用した取組」「自分ごと化をすすめるための体験的な取組」「教育環境を整備する取組」の3つを柱に、各学校が趣向を凝らして、保護者・地域・企業・大学などと協同で取組を推進している。

また全国に先駆けて「豊島区こども未来国連会議」も開催。「住み続けたくなる未来の豊島区」というテーマで小学校高学年の子どもたち約50人が集まり、チームごとに議論、議場で大人たちに提言をした。大変好評で今後も継続的に行っていく予定。

オールとしま

豊島区では「オールとしま」と呼ぶ「区民、企業、区」すべてが主体性をもってSDGsに取り組んでいる。前話でご紹介した「としまSDGs都市宣言」にもあるように「多様な主体とのパートナーシップ」を重んじている。

「企業の皆様にも豊島区のまちづくりに参画してほしい」と区の担当者は語る。まちが賑わうから企業が賑わう。「まちの賑わいを作るために区と連携をしていただきたい」。

区民に対しても同じ思いを持っている。これまで区民からは「なんとかしてよ」という意見が多かったが、最近は「これができるけどどう?」という問いかけも増えてきたという。

そのおかげもあってか、日本経済新聞の「第3回全国市区SDGs先進度調査」において、豊島区は全国で総合9位、日経×WOMANウェブサイトの「共働き子育てしやすい街ランキング2022」では1位に輝いた。

「消滅可能性都市」の指摘からのV字回復と、SDGs活動。SDGsを単なる看板にせず、活用していこうという動きが素晴らしいと感じた。

CITY INFO

豊島区役所
〒171-8422 豊島区南池袋2-45-1